あぶらよしこ
阿部羅良子さん
33歳 女性 会社員。
テレビで話題のものは一度試してみる。
料理はするほう。得意なものはイタリアン系。
自分なりに、健康には気を使っているつもり。
質問者

「健康を考えて、オリーブオイルにしています」

もの博士

さまざまなあぶらがあるなかで、オリーブオイルが体にいいといわれるのは、あぶら(脂肪酸)の構造が異なり、体へのよい働きをする不飽和脂肪酸を豊富に含んでいるから。あぶらに多く含まれている脂肪酸の種類はこんなにあります。

脂肪酸の種類
もの博士の薀蓄(うんちく)もの博士

飽和脂肪酸と不飽和脂肪酸の違いは、炭素原子同士の結びつきで二重結合が一つもないのが飽和脂肪酸、あるのが不飽和脂肪酸です。飽和脂肪酸の方が化学的に安定しており、融点(溶ける温度)が高いため、常温では固まっています。
不飽和脂肪酸は、二重結合が一つある一価不飽和脂肪酸と二つ以上ある多価不飽和脂肪酸に分かれます。

もの博士

一価不飽和脂肪酸でよく知られているオレイン酸は、オリーブオイルに多く含まれ、血液中の悪玉と呼ばれるLDLコレステロールを下げる効果があるので、体にいいとされています。

質問者

「なるほど。ではオリーブオイルはコレステロールを下げるから、たくさん使ってもいいですか?」

もの博士

いいえ。あぶらであればオリーブオイルであれ何であれ、エネルギー量はすべて1g=9kcal。
体にいいからと使いすぎるとエネルギーのとりすぎとなり、肥満、そしてメタボへの道につながっていくことをお忘れなく。

質問者

「やっぱり、あぶらは太るんですね。できるだけとらないほうがいいですか?」

もの博士

いいえ。多価不飽和脂肪酸には、体内で合成できない必須脂肪酸が含まれていて、体をつくるのに大切なものです。

質問者

「えーーー! ではどうしたらいいのですか?」

もの博士

現代人の食生活では、とりすぎているのが動物性脂肪に多く含まれる飽和脂肪酸、足りないのがEPAやDHAなどの多価不飽和脂肪酸n-3系といわれています。ですから、あぶらもとるバランスが問題なのです。

質問者

「では、どんなとり方をすればいいですか?」

もの博士

炒め物にオリーブオイルをたっぷり、さらに仕上げにもうひとたらししていた阿部羅良子さんへの提案は、オリーブオイルだからといって使いすぎないということですね!

コラム
「見えないあぶら」

日本人の食生活で、近年とくに心配されるのが「見えないあぶら」。実は、脂質の摂取のうち、肉や魚、乳製品など食品に含まれるあぶらや、菓子類やパン、カレーのルーなどの加工食品からのあぶらの摂取が増加しており、平均で8割以上となっています( 国民健康・栄養調査)。

調理としてのあぶらの選択も大切ですが、食品を買うときは「栄養成分表」に必ず脂質が記載されていますので、ぜひチェックしてみてください。