敵を知り、己を知れば百戦危うからず
生活習慣病の温床は20~30歳代から。主な生活習慣病やメタボリックシンドローム(メタボ)の危険を知り、何に注意が必要かを諸葛孔明から学びましょう。

【敵を知り、己を知れば百戦危うからず】とは、春秋時代の「孫子の兵法」に登場する言葉じゃ。敵と味方の情勢をしっかり把握していれば、百回戦っても敗れることはない。生活習慣病も敵である病気を知り、己、つまり自分の状態と生活習慣を知れば、おのずと対処の仕方も見えてくるものじゃ。
生活習慣病の温床は20~30歳代から
私たちがかかる病気は、病原体の感染で起こる感染症か、加齢に悪い生活習慣が影響して生じる生活習慣病(非感染性疾患)に二分されます。
日本人の3大生活習慣病はがん、心臓病、脳卒中。この3つで日本人の死亡原因の約6割を占めています。糖尿病や高血圧症、脂質異常症も生活習慣病の代表格で、心臓病や脳卒中にも関係します。
生活習慣病が深刻化するのは主に40歳代以降ですが、その芽が育つのは20~30歳代から。若い人も早めに“芽”に気づき、生活習慣改善に努めることが重要です。

髀肉之嘆(ひにくのたん)
メタボの嘆

【髀肉之嘆】とは、足についたぜい肉を嘆いた言葉。活躍の場所がないという意味じゃ。メタボになるほど内臓脂肪がつくと、生活習慣病の危険が急上昇! 嘆くだけではすまされんぞ!!
メタボリックシンドロームとは
メタボリックシンドローム(メタボ)とは、内臓脂肪の過剰な蓄積に加え、さらに高血圧や高血糖、脂質異常が2つ以上加わった状態をいいます。
メタボは血管がボロボロになる動脈硬化を急速に進行させるため、そのままにしておくと40歳代でも心臓病や脳卒中、糖尿病の合併症、腎臓病など深刻な病気になる危険があります。



諸悪の根源、内臓脂肪を討て!
メタボの原因は、内臓のまわりに脂肪が過剰にたまった内臓脂肪型肥満です。内臓脂肪型肥満になると、脂肪細胞から高血圧、高血糖、脂質異常などを招く悪い生理活性物質が分泌されるようになるからです。
予防・改善のためには元凶となる内臓脂肪型肥満を防ぐことです。幸い、内臓脂肪は減らしやすい脂肪です。積極的に体を動かして消費エネルギーを増やし、食事量を適度にして摂取エネルギー量を減らすことが内臓脂肪を減らす基本となります。
若い女性は生活習慣病のハイリスクグループ?
“若さ”と“健康”はイコールのようですが、若いからといって誰もが健康なわけではありません。とくにいま、若い女性で将来の生活習慣病が心配される人が増えています。
その大きな要因はやせすぎです。20代女性の5人に1人がやせすぎの状態とされています(厚生労働省2015年国民健康・栄養調査)。
背景にはやせ願望があるといわれていますが、やせすぎると筋肉量や骨量が減るなど、体に大きな影響が出ます。また血糖値のコントロールがうまくできなくなったり、肝臓に脂肪がたまりやすくなるなど、生活習慣病のリスクが高くなってしまうのです。
また、やせた女性が妊娠・出産した場合、体重が2,500g未満の低出生体重児が生まれやすくなりますが、低出生体重児は成人以後に生活習慣病などになりやすいことがわかっており、子どもの将来の健康にも悪影響を及ぼすおそれがあるのです。
BMIという体格指数が18.5以下の人はやせすぎです。十分注意してください。
BMIの求め方
BMI = 体重(kg)÷ 身長(m)÷ 身長(m)

気軽にちょっとした時間にできる“ながら体操”。通勤や仕事の合間など、 ○○しながらちょっと体を動かしてみましょう。
立ったついでに
イスでスクワット目安は10回
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- 足は肩幅にひらく
- つま先は外向き30度
- 手を腰にあてる
- 顔は正面向き
- 息を吐きながら立ち上がる
PC作業の合間に
前腕のストレッチ目安は30秒
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- イスに座る
- 手首を曲げ、手の甲をイスの座面につける
- 少し体重をかけ、前腕(手の甲側)を伸ばす