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妊婦の医療用物質使用と、出生児の神経芽腫発症との関連を調査<九州大学>
九州大学は7月30日、エコチル調査のデータから乳児期の小児がんと両親が職業で取り扱った医療用物質との関連について解析した結果、妊婦の放射線の取り扱いと出生児の乳児期における神経芽腫の発症に関連がある可能性を示されたと発表した。解析対象となった約92,000人の妊婦のうち、妊娠期間中に月1回以上、医療用物質を扱っていたのは、放射線が2,142人(2.3%)、抗がん剤が1,298人(1.4%)、麻酔薬が1,015人(1.1%)。一方、生まれた子ども約92,000人のうち、1歳までのがんの発症数は神経芽腫15人、白血病8人、脳腫瘍3人だった。放射線を取り扱った2,142人の妊婦から生まれた子どものうち、神経芽腫を発症したのは3人。その発生率は10 万人当たり140.1人で、取り扱っていない妊婦から生まれた子どもの発症率(10 万人当たり13.3人)よりも高い傾向にあった。また出生時体重などを考慮に入れた多変量解析では、放射線を取り扱った母親の子どもは、神経芽腫のリスクは 10.68倍と算出された。調査に当たったエコチル調査福岡ユニットセンター(同大小児科)の研究チームでは、この研究について、乳児の神経芽腫の発生は、妊婦が放射線を取り扱った場合と関連がある可能性が示された半面、ばく露とアウトカムの関係性をみる、いわゆる観察研究と呼ばれるものであり、必ずしも因果関係を示すものではないとし、「この研究をきっかけとして、小児がんの原因に関する研究が進むことを期待している」としている。
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