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認知症の発症リスクを上昇させる因子を発見 <千葉大>

千葉大学は9月2日、大学院薬学研究院の殿城亜矢子講師と伊藤素行教授、千葉大学真菌医学研究センターの高橋弘喜准教授の研究グループが、加齢に伴い認知症の発症リスクを上昇させる因子を発見したと発表した。研究グループは、RNAシーケンスを⽤いてショウジョウバエ脳内で加齢に伴い発現量が変化する遺伝⼦を抽出。データベースとの⽐較解析により記憶低下の原因となる候補遺伝⼦を絞り込んだうえで、候補遺伝子の発現量を脳内で改変したショウジョウバエを作製し、それらの記憶能⼒を測定した。その結果、NOによって活性化される可溶性グアニル酸シクラーゼ(sGC)の発現量が加齢に伴い増加し、sGC の発現量を脳内で低下させると記憶が上昇することが明らかになった。具体的には、⼀部の神経細胞で sGC の発現量を抑制させたショウジョウバエや、sGC を阻害する薬剤を投与したショウジョウバエでは、加齢による記憶低下が改善。さらに、脳内の神経細胞の周囲に存在するグリア細胞で、NOを合成する酵素である NO合成酵素(NOS)の発現量を抑制させたショウジョウバエや、NOS を阻害する薬剤を投与したショウジョウバエでも、記憶低下が改善した。これらのことより、加齢に伴い NO や sGC に関連する経路が活性化することが、記憶の低下を引き起こす⼀つの原因となることが⽰唆された。研究グループでは、この結果について「認知症に対する新薬開発や新たな生体内リスクマーカーの発見などが期待される」としている。

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