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腸内細菌が肥満や糖尿病を悪化させるメカニズムを解明<理化学研究所>
理化学研究所は5月15日、生命医科学研究センター粘膜システム研究チームの大野博司チームリーダーを中心とする研究チームが、腸内細菌の一種、FI(Fusimonas intestini)が、肥満や糖尿病を悪化させるメカニズムを解明したと発表した。研究チームは、高血糖・肥満マウスから分離されたFIの存在する比率が、糖尿病患者では健常者の2倍近くになること、FIを定着させたマウスと健常マウスによる比較実験で、「糖尿病になるとFIが増加する」のではなく、「FIが多いと糖尿病になる」という因果関係を明らかにした。またFI定着マウスの血中に脂肪酸がほとんど増えていない原因も探求、「FIが産生する悪玉脂質は、腸内から肥満や高血糖を引き起こしている可能性」をつきとめ、FIは高脂肪食を摂取した場合、悪玉脂質であるトランス脂肪酸の産生などを介して、腸管バリア機能に影響を与え、その結果、肥満や高血糖を悪化させていたことが明らかになった。こうした結果を踏まえ、研究を主導した、生命医科学研究センター粘膜システム研究チームの大野博司チームリーダーは、「たとえばFIを腸内から排除すると、糖尿病予防になるかもしれない」としている。
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