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院長が高齢の診療所では、抗菌薬の処方率が高い<東京大>
東京大学は10月22日、診療所における非細菌性の急性呼吸器感染症(いわゆる風邪)に対する抗菌薬処方率に、院長の年齢などが関連することを明らかにしたと発表した。大学院医学系研究科の宮脇敦士氏、医学部医学科6年生の青山龍平氏、UCLA准教授の津川友介氏らによる共同研究チームは、日本全国の診療所における97万人以上の外来受診データから、診療所の特性(院長の性別・年齢、患者数、グループ診療か否か)と抗菌薬の処方との関連を分析した。その結果、院長の年齢が60 歳以上では45歳未満よりも、抗菌薬の処方が統計学的に多いことが判明した。1日の受診患者数についても、患者数の多い診療所(年間中間値58 人/日以上)では、患者数の少ない診療所(年間中間値35 人/日以下)と比べて、抗菌剤の処方が有意に多かった。一方、グループ診療を行う診療所では、医師1人が単独で診療を行う診療所と比較して、統計学的に有意に低いという結果を得た。院長の性別に関しては、統計学的に有意な差は認められなかった。研究チームではこの結果について、「AMR(薬物体制)対策を今後継続していく上で、一定の特性を持つ診療所への働きかけが有効である可能性を示唆している」としている。
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