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子ども医療費助成は「不必要な医療」を増やすおそれ<東京大>
東京大学公共政策大学院は9月30日、地方自治体が実施している子ども医療費の助成に「ゼロ価格効果」が存在することを示す研究結果を公表した。ゼロ価格効果とは、モノやサービスの価格が0円(無料)のほうが、10円などごくわずかな金額よりも需要を大きく増やしてしまう効果のこと。同大学院の飯塚敏晃教授と同大教育学部の重岡仁教授は、人口の多い6県(294市町村)における10年分(2005年~15年)の医療費助成情報と、6~15歳のレセプトデータを結合して分析した。その結果、自己負担ゼロのときに月1回以上外来受診する確率は43.9%だったが、自己負担額率がほんのわずかでも上がると、外来受診が減ることがわかった。さらに自己負担ゼロから少額の自己負担(200円/回)を課した場合を検証したところ、「健康状態のよくない子どもの受診は減らないが、比較的健康な子どもの受診や不適切な抗生物質の使用を減らせる可能性」が示唆された。この結果を踏まえ飯塚教授らは、「無料」と「無料以外」を、医療サービスの価値によって使い分ける医療保険制度設計の必要性を強調した。
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→ 論文(英文)AMERICAN ECONOMIC JOURNAL