一覧
NASHに対するデジタル療法の効果を、世界で初めて確認<東京大>
東京大学は1月24日、同医学部附属病院を中心とする研究グループが、非アルコール性脂肪肝炎(NASH)に対する治療用アプリを用いたデジタル療法の多施設臨床試験で、その効果を世界で初めて示したと発表した。使用したのは、株式会社CureAppと共同開発したNASH治療用アプリ。個々の患者に最適化された治療ガイダンスを提供し、患者の認知と行動の改善を通じた減量を達成することを目的に開発された。このアプリを用いた48週間の介入により、平均8.3%の体重減少が達成され(NASH診療GLでは体重の7%の減量を推奨)、肝組織の脂肪化や炎症、風船様変性から成る病理学的スコア(NAS:NAFLD activity score)が試験開始時に比べて有意な改善を示した。試験前後のNASは、過去の研究における経過観察群のデータを元に設定した比較対照群との比較においても有意な改善を示したという。また、デジタル療法開始前に中等度以上の線維化を認めた患者の半数以上(58.3%)に、線維化ステージの改善が認められた。研究チームでは、「現状確立された治療法の存在しないNASHに対してデジタル療法が有効であることが示された。患者の認知と行動の改善を通じた減量による治療が達成されれば、NASHにより生じる肝硬変や肝癌のみでなく、肥満がリスクとなり生じる他の疾患の予防にもつながり、日本の医療費削減への貢献も期待される」としている。
→ プレスリリース