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高齢者の過体重・軽度肥満、心血管疾患の予後良好<国立循環器病研究センター>

国立循環器病研究センターは5月7日、日本脳卒中データバンク(JSDB)の登録情報を用いて、BMIが脳卒中後の転帰に影響を及ぼすことを解明したと発表。肥満度の高い人は生活習慣病や心血管病の発症リスクが高い一方、心血管病発症後の機能回復はむしろ良好という、「obesity paradox」が見られたことを明らかにした。対象としたのは、2006年から2022年までJSDBに登録された急性期脳卒中例のうち入院時にBMIが入力された約5万6,000例。退院時の転帰は、「修正ランキン尺度」の「5~6」を不良、「0~2」を良好と定義した。解析の結果、次のことが明らかになった。▼「低体重(BMI 18.5未満)」は、脳梗塞と脳出血の転帰不良リスクを約1.4~2.3倍に高める▼アテローム血栓性脳梗塞では、BMIと転帰不良にU字型の関連を認め、「低体重」と「肥満」はいずれも、転帰不良のリスクを高める▼「低体重」は、とくに重症の脳梗塞や再灌流療法後における転帰不良と関連▼「過体重(BMI 23.0~25.0)」「80歳以上の高齢者におけるI度肥満(BMI 25.0~30.0)」は、脳梗塞後の転帰不良のリスクが9~17%低下し、obesity paradoxを認めた。この結果について研究グループでは「高齢者の低体重は、低栄養や全身状態、心身の脆弱性、身体的機能低下を反映することが多く、急性期脳卒中発症後の消耗に対して予備能が乏しいことが、転帰不良のメカニズムに挙げられる。フレイルやサルコペニアなどの影響が考えられる高齢者の体重減少の抑制は、脳卒中診療においても重要と考える」としている。

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