一覧
イソシアネートでアレルギー重症化のリスク <第93回日本産業衛生学会>
第93回日本産業衛生学会(6月12~28日、ウェブ開催)において、かくたこども&アレルギークリニック(宮城県)院長の角田和彦氏は、ポリウレタンの原料となるイソシアネートに対してアレルギー陽性反応を示す患者が一定数見られると発表した。同クリニックにおいて、希望した322例に対してイソシアネートの一種であるトルエンジイソシアネート(TDI)特異的IgE抗体(TDI抗体)検査を実施したところ、陽性者は10.9%であった。陽性は示さないものの、17.4%は今後感作が進む可能性があるという結果だった。さらに、アトピー性皮膚炎の有無および重症度別にTDI IgE値を見ると、重症例は非重症例に比べて有意にTDI IgE値が高かった。
TDIは、柔軟剤の香料やポリウレタン製の衣類やマスクなどにも含まれる。TDIに感作され、その後鼻粘膜経由でTDIに感作されると、気管支喘息を発症し得るとの報告もあることから、マスク等の素材選びには注意が必要であることを呼びかけた。